隠された風景―死の現場を歩く福岡 賢正
南方新社 刊
発売日 2004-12
驚いた 2007-05-18
いやはや、驚いた。
内容にではない。この本が、毎日新聞での連載を集めたものだということに、ただただ驚いた。そもそも、この種の内容(不要ペットの処分、屠場、など)は、現代社会の胡散臭さに敏感な嗅覚を持つ人ならば、自力で見つけて読み漁るものだろう。実際、自分も若い頃(20代前半)、現代社会が死や旺盛な生命力について隠蔽している状態に閉塞感を持ち、東京の街にできた空き地に繁茂する雑草にすら救いを感じたような時期があった。そして、この本の内容と重複する本は幾つも読んでいる。そういうことに自覚的であることは、社会の表層を流れる軽薄なものに流されないために重要なことだと信じて疑わなかったし、自分は少数派に属すると思っていた。だが、その種の内容を「新聞に」連載したのだ、この人は。もの凄く勇気のある行為だと思う。そして、読むと、不要ペットを処分する人が、実名で登場する。被差別部落出身だと言うことも明かして。つまり、それが新聞に載ったわけだ。相当な覚悟の上での取材、連載である。それだけ、現代のままごと的で薄っぺらな社会の流れに憤りを持っているのが伝わってくる。新聞での連載のために、コマ切れになって、多少議論が粗いところがあるのは気になるが、逆に勢いと言うか、迫力がある。これは、是非とも多くの人たちに読んで欲しい本だ。
死の現場を見つめる中で生きることの素晴らしさを認識させられる 2007-03-27
とかく隠蔽させられがちな現代の様々な死の現場を丹念に、そして真摯に取材した力作。
ややもすれば、死は永遠に自分自身に無縁なものと錯覚さえしてしまいがちな時代である。
そうした中、本書は実際の死の現場を歩きつつ、我々の生活が一瞬たりとも死とは無縁ではないこと、死があることで我々の生が維持されていること、さらには生きることの素晴らしさ、生きることの義務と責任を再認識させる良書。
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